夏の高温対策
夏の高温対策
近年、夏期に高温が続くことが増えています。特に7~8月は農作業中の熱中症事後が毎年発生しており、作物の高温対策に加え、農作業従事者が熱中症に対して十分な対策をとる必要があります。
農林水産省25生産第1043号および25生産第1383号より引用。
1. 共通事項
<農作業中の熱中症予防について>
暑熱環境下での作業は熱中症を生じるおそれがあるので、下記の事項に注意すること。
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日中の気温の高い時間帯を外して作業を行うとともに、休憩をこまめにとり、作業時間を短くする等作業時間の工夫を行うこと。水分をこまめに摂取し、汗で失われた水分を十分に補給すること。
気温が著しく高くなりやすいハウス等の施設内での作業中については、特に気を付けること。 -
帽子の着用や、汗を発散しやすい服装をすること。
作業場所には日よけを設ける等できるだけ日陰で作業するように努めること。 -
屋内では、遮光や断熱材の施工等により、作業施設内の温度が著しく上がらないようにするとともに、風通しをよくし、室内の換気に努めること。作業施設内に熱源がある場合には、熱源と作業者との間隔を空けるか断熱材で隔離し、加熱された空気は屋外に排気すること。
2. 野菜
<全般>
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かん水は地温が低下している早朝・夕方に実施する。また、敷きわらやもみ殻で土壌を被覆し、地温上昇の抑制と土壌水分の蒸発抑制に努める。
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園芸用施設は、妻面・側面を開放するとともに、寒冷紗等を使用し、施設内の温度上昇を抑制する。また、寒冷紗等による遮光は、果実の日焼けや葉やけ防止にも有効である。
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こまめな除草や側枝、弱小枝、下葉を除去し、風通しを良くする。
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育苗箱は、コンテナやブロックでかさ上げし、風通しを良くする。
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ハダニ類、アブラムシ類、うどんこ病等干ばつ時に発生が多くなる傾向の病害虫については、その発生動向に十分注意し、適期防除に努める。
<葉菜類>
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乾燥によるチップバーンを防止するため、薬剤防除時にカルシウム剤を混用する。
<果菜類>
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不良果の摘果、若どりを行い、着果負担の軽減を図るとともに、適宜施肥により樹勢維持と成り疲れを防止する。
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老化葉、黄色葉を中心に摘葉を実施し、蒸発を抑制するとともに、かん水による土壌水分の急激な変化に留意する。
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カルシウム欠乏、鉄欠乏、ホウ素欠乏等の生理障害対策として、必要に応じて葉面散布を行う。
2. 果樹
<干ばつ対策>
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干ばつ傾向にある地域においては、用水の確保に努め、敷わら、敷草等により、土壌水分の蒸発を極力抑制しつつ、適宜かんがいを実施する。
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草生園においては、干ばつ期の草刈りを実施し、防水透湿性シートによるマルチ栽培を行っている園地においては、マルチを巻き上げてかん水を行う、かん水チュ ーブによりドリップかんがいを行う等により、地表面への直接かん水に努める。
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かん水に当たっては、かん水設備の漏水・目詰まり等に留意し、適切にかん水が行われるよう事前に点検を行う。
<高温対策>
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収穫期を迎えるもも、ぶどう等の果実については、着色不良を防止するため、樹冠内光環境の改善、反射シートの活用によって着色を促す。
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着色が遅延することに伴い収穫時期が遅れ、果実が過熟とならないよう、適期収穫に努める。
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高温によって果実の日焼けが発生しやすい園地においては、各種資材による遮光等の対策をとる。
<病虫害対策>
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干ばつ時に発生し易いハダニ類については、発生動向に十分注意し、発生初期からの薬剤防除を実施する。
3. 花き
<高温による影響>
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干ばつ傾向にある地域の露地栽培の花きについては、敷わら等マルチを用いて、土壌水分の蒸発防止に努める。
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施設栽培の花きについては、寒冷紗や遮光資材を用いて、気温や地温、植物体温の上昇を抑える。また、妻面・側面を開放する等により、施設内の通風を図るとともに、室 温の上昇を抑える。
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ハダニ類、アブラムシ類、うどんこ病等干ばつ時に発生が多くなる傾向の病害虫については、その発生動向に十分注意し、適期防除に努める。