大阪府立環境農林水産総合研究所

生息確認魚種と分布 2014年度

淀川調査結果報告2014

環境研究部 水生生物グループ (水生生物センター)

 

2013年9月に、台風18号が近畿地方に大雨をもたらし、滋賀県と京都府に大雨特別警報が発令されました。9月15日から16日にかけての総雨量が400mmを超え、京都府で淀川上流部の桂川の一部が氾濫しました。淀川本川においても、枚方観測点で最大流量9500㎥/secを記録し、水位は通常より8.2m上昇し氾濫注意水位を超過するなど、1982年以来、約30年ぶりに河川敷が広大に冠水しました。

当センタ-では2012年に魚類相調査を実施しており、増水後の2014年に同様の調査を行うことは、増水による大規模攪乱が淀川の魚類にどのような影響を及ぼすのかを知る良い機会となりました。また、淀川城北ワンド群の一部では外来水生生物の駆除などの効果が認められ、在来魚種の生息環境が整い、2013年10月には天然記念物イタセンパラの野生復帰に係る市民による公開放流が試みられるまでになりました。この調査では放流後のイタセンパラの生息状況も調べることができました。

 

<参考文献>

内藤馨・石橋亮・金丸善紀・宮下敏夫.2014.淀川淡水域における魚類相の現状.地域自然史と保全,36(1):41-52.

 

 

 

生息確認魚種と分布2014
  全域(本流+ワンド)   本流 ワンド
魚種 尾数 比率(%)   尾数 比率(%) 尾数 比率(%)
オオクチバス 1731 18.23   177 9.50 1554 20.37
カネヒラ 1320 13.90   504 27.05 816 10.69
ブルーギル 1096 11.55   43 2.31 1053 13.80
オイカワ 1040 10.96   809 43.42 231 3.03
フナ類* 1033 10.88   24 1.29 1009 13.22
モツゴ 843 8.88   - - 843 11.05
タイリクバラタナゴ 558 5.88   - - 558 7.31
コウライニゴイ 500 5.27   100 5.37 400 5.24
コウライモロコ 258 2.72   33 1.77 225

2.95

ヨドゼゼラ 234 2.46   6 0.32 228 2.99
ハス 223 2.35   35 1.88 188 2.46
カマツカ 191 2.01   83 4.46 108 1.42
タモロコ類* 160 1.69   23 1.23 137 1.80
コイ 94 0.99   2 0.11 92 1.21
シロヒレタビラ 53 0.56   1 0.05 52 0.68
カムルチー 34 0.36   1 0.10 33 0.43

カワヒガイ

32 0.34   6 0.32 26 0.34
ヌマチチブ 24 0.25   11 0.59 13 0.17
ウキゴリ 19 0.20   1 0.10 18 0.24
ヨシノボリ類* 13 0.14   1 0.05 12 0.16
イタセンパラ 8 0.08   - - 8 0.10
アユ 7 0.07   - - 7 0.09
ワタカ 5 0.05   - - 5 0.07
ティラピア 4 0.04   - - 4 0.05
カワアナゴ 3 0.03   - - 3 0.04
ボラ 3 0.03   - - 3 0.04
ワカサギ 2 0.02   1 0.10 1 0.01
ナマズ 1 0.01   - - 1 0.01
ドンコ 1 0.01   - - 1 0.01

ゴクラクハゼ

1 0.01   - - 1 0.01
スズキ 1 0.01   1 0.10 - -
コクチバス 1 0.01   1 0.10 - -

合計

9493     1863   7630  
  全域(本流+ワンド)   本流 ワンド

赤文字の魚種は外来種(国内移入種,亜種を含む)。
*フナ類には、ゲンゴロウブナギンブナを含みます。

*タモロコ類には、ホンモロコタモロコを含みます。

*ヨシノボリ類は、シマヒレヨシノボリカワヨシノボリ含みます。