環境分野 快適な環境や生物多様性の保安全を支える調査研究

外来魚緊急総合対策事業

外来魚緊急総合対策事業

環境研究部 自然環境グループ (生物多様性センター)

 オオクチバスと食べられたオイカワ

   オオクチバスと食べられたオイカワ 

研究の背景および目的

 健全な内水面生態系の保全、復元を図っていくためには、人間と自然との共生を踏まえつつ、魚のすみやすい環境の物理的な改善を図っていくことはもちろん、地域個体群の保護など生態系に配慮した増殖を行っていくことが重要です。

 また、近年は人為的な密放流によるオオクチバス等外来魚の生息域の拡大等により、本来そこにすむべき生物の捕食や生息環境の競合による在来の生態系にも影響が生じています。

 このため、内水面生物の生息を脅かしているオオクチバス等外来魚の生息域、生息数の減少対策を早急に実施し、健全な内水面生態系の保全、復元を推進していく必要があります。

 オオクチバス等外来魚の生息域、生息数の減少を図るため、これら外来魚の生息状況、生息環境、再生産状況等を調査し、また、産卵床の破壊や稚魚の捕獲を行い、破壊された生態系復元の一助とします。

調査内容

1)検査地点

 養殖ため池およびそれに連接する河川、水路、上部のため池(枚方市、泉大津市、和泉市、岸和田市の計24ヵ所)

ニッポンバラタナゴの生息地のため池(八尾市の計11ヵ所)

2)調査方法

 外来魚の産卵期から稚魚期にあたる5~7月に各調査地点において産卵床や稚魚、親魚の生息の有無を確認しました。

 また、岸辺の構造(護岸構造、水生生物の有無、水際の水深等)と生物相(淡水魚介類、水生昆虫、プランクトン)を調査し、外来魚の生息と環境条件の関係を把握しました。

駆除対策マニュアルの作成

 上記の調査結果に基づき大阪府におけるため池の駆除対策マニュアルを作成します。

結果

1)生息状況調査

 調査地点35ヵ所のうち、泉大津市2ヵ所、和泉市2ヵ所、岸和田市8ヵ所、八尾市1ヵ所で生息を確認しました。このうち、オオクチバスは12ヵ所、ブル-ギルは9ヵ所で見られました。

2)生息環境調査
外来魚調査地の環境条件

・生息を確認した場所の環境条件
     水温19.4~26.8℃  pH 6.50~9.52 DO 2.81~20.00以上mg/l
     COND 0.163~0.445mS/cm COD 5.0~8.0以上mg/l
     透明度27~1m以上
     水色 透明、黒緑色、黄緑色、淡茶褐色、淡緑色、淡黄緑色
     動物プランクトン12~1331個体/l
     植物プランクトン Navicula、Oscillatoria、Microcystis、Chaetophora、Cyclotellaが優占
     底生生物 種類数1~3、個体数4~153個体/25X25cm

・生息が確認されなかった場所の環境条件
     水温18.2~27.0℃  pH 6.55~9.68 DO 0.00~19.85
     COND 0.152~0.341mS/cm COD 6.0~8.0以上mg/l
     透明度20~1m以上
     水色 透明、茶黒色、黄緑色、茶褐色、緑色、黄緑褐色、黄褐色、緑褐色
     動物プランクトン0~651個体/l
     植物プランクトン Navicula、Oscillatoria、Microcystis、Chaetophora、Cyclotella、
     Melosira、Ankistrodesmus、Scenedesmusが優占
     底生生物 種類数1~4、個体数2~254個体/25X25cm

●各場所様々な環境条件にあり、外来魚の生息の有無との関係は見られませんでした。

外来魚調査地の面積と岸辺の環境

・生息を確認した場所
     面積 835~465000m2
     岸辺の水深 0.5~2.0m
     岸辺の構造 石垣と土堤、土堤、コンクリ-ト垂直護岸、コンクリ-ト護岸と土堤

・生息が確認されなかった場所
     面積 75~65000m3
     岸辺の水深 0.3~2.0m
     岸辺の構造 石垣、石垣と土堤、土堤、コンクリ-ト護岸、コンクリ-ト護岸と石垣、
     コンクリ-ト護岸と土堤、コンクリ-ト護岸と石垣および土堤

まとめ

  1. オオクチバスおよびブル-ギルの生息は養殖池関連でそれぞれ46%、33%の水域で確認され、オオクチバスは増水時に連接するため池、河川から水路を通じて養殖池へ流入すると推察されました。また、密放流も疑われました。
  2. ニッポンバラタナゴ生息地周辺のため池では1ヵ所で外来魚の生息が確認されたが、ニッポンバラタナゴが生息するため池では外来魚は認められず、そこへの外来魚流入の恐れは少ないと思われました。
  3. 外来魚は1000m2以下の小さな池には生息しない傾向がみられたが、池の諸環境条件との関係は認められませんでした。
  4. 外来魚が生息する池には、モツゴ、ヨシノボリ、スジエビ等の小魚介類は少なく、外来魚のみか、あるいはそれにコイ、フナを加えただけの単純な魚類相となっていました。
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