環境分野 快適な環境や生物多様性の保安全を支える調査研究

平成23年度微小粒子状物質成分分析結果の概要

平成23年度微小粒子状物質成分分析結果報告書の概要

1 調査地点

局種別 地点 所在地
一般環境大気測定局 泉大津市役所
(以下、「泉大津」と記す。)
泉大津市東雲町
9-12
島本町役場
(以下、「島本」と記す。)
三島郡島本町桜井
2-1-1
自動車排出ガス測定局 松原北小学校
(以下、「松原」と記す。)
松原市阿保
1-16-3

2 調査期間

季節 期間
春季 平成24年 3月 9日(金)~ 3月23日(金)
夏季 平成23年 7月29日(金)~ 8月12日(金)
秋季 平成23年11月 4日(金)~11月18日(金)
冬季 平成24年 1月27日(金)~ 2月10日(金)

※試料採取は1日(10時から翌日9時の23時間)×14回×4季節 

3 季節特性

  • 各季節14日間の合計56日間におけるPM2.5質量濃度の年平均値は、泉大津で15.2μg/m3、島本で12.6μg/m3、松原で17.1μg/m3であった。
  • PM2.5質量濃度の各季節14日間の季節平均値は、泉大津と松原では、他の季節に比べ夏季に低かったが、島本では11.7~13.5μg/m3と季節変動が小さかった。

図1PM2.5質量濃度(平成23年度)

  • PM2.5に含まれる主な成分は、硝酸イオン(NO3-)、硫酸イオン(SO42-)、アンモニウムイオン(NH4+)、有機炭素(OC)及び元素状炭素(EC)で、SO42-及びOC濃度の割合が高く、二つを合わせるとPM2.5質量濃度の約50%を占めていた。島本におけるNO3-濃度の割合は5%と、松原(9%)、泉大津(8%)に比べ低かった。その他の主な成分の質量濃度に占める割合は地点間で大きな差はなかった。

図2PM2.5質量濃度に占める各成分濃度の割合(平成23年度)

  • NO3-濃度は、春季>冬季>秋季>夏季の順で、夏季は非常に低かった。NO3-は、可逆反応により、高温ではガス状物質に、低温では粒子状物質になるといわれており、夏季はガス状物質として大気中に存在していると考えられる。
  • SO42-は、一般に光化学反応が活発な夏季に濃度が高くなるといわれているが、泉大津と松原では冬季に濃度が最も高かった。
  • OC濃度は、秋季に最も高く、夏季>春季>冬季の順であった。
  • EC濃度は、OC濃度に比べ季節変動が小さかったが、秋季に最も高かった。

図3成分濃度の季節平均値

4 地域特性

(1)島本
  • SO42-及びOC濃度の季節平均値は、すべての季節において、島本で最も低かった。・・・[図3]
  • 島本では、他の地点でPM2.5中の主な成分の濃度が上昇しても濃度上昇がみられないことが多く、特にNO3-濃度が顕著であった。

図4硝酸イオン濃度(平成23年度冬季)

(2)松原
  • NO3-、SO42-、OC及びEC濃度の季節平均値は、すべての季節において、松原で最も高かった。・・・[図3]
  • 自排局の松原では、夏季と秋季におけるOCの濃度変動が泉大津・島本と異なっていた。

図5有機炭素濃度(平成23年度夏季)

(3)EC及びSO42-
  • ECは地点間の濃度変動が異なっており、近傍の発生源の影響を受けていると考えられる。・・・[図6]
  • 一方、SO42-は地点間で濃度変動が類似していた。・・・[図7]

図6元素状炭素濃度(平成23年度秋季)

図7硫酸イオン濃度(平成23年度秋季)

 

5 PM2.5質量濃度が高濃度となった要因

各季節においてPM2.5質量濃度が最大となった日を高濃度日とした。

(1)春季(高濃度日:3月17日)
  • 高濃度日前日及び高濃度日に風速が弱かったことから、この2日間は大気が拡散せずに汚染物質が蓄積しやすい状況にあったと考えられる。
  • 高濃度日前日にガス状のNO2濃度が、高濃度日にNO3-濃度が高かったことから、NO2から酸化反応によりNO3-が生成したと考えられる。
  • よって、拡散せずに蓄積したNO2の酸化反応で生成したNO3-濃度が高くなったことが、PM2.5質量濃度が高濃度となった一因と考えられる。

図8 平成23年度春季グラフ

(2)夏季(高濃度日:8月10日)
  • 高濃度日前日及び高濃度日に風速が弱かったことから、この2日間は大気が拡散せずに汚染物質が蓄積しやすい状況にあったと考えられる。
  • 気温が高く、昼間のオキシダント濃度が高かったことから、光化学反応も活発であったと考えられる。
  • よって、光化学反応が進むことによりSO42-やOCなどの二次生成粒子の濃度が高くなったことがPM2.5質量濃度が高濃度となった一因と考えられる。

 

(3)秋季(高濃度日:11月14日)
  • 気象条件からみると、大気が拡散せずに汚染物質が蓄積しやすい状況ではなく、大陸からの気塊の移流が予測されており、SO42-等の濃度上昇は大陸からの汚染物質の移流の影響があったと考えられる。
  • また、九州大学と国立環境研究所の化学天気予報システム(CFORS)で大陸からの土壌粒子の飛来が予測されており、実際に、Alなど土壌由来の無機元素濃度も高かった。
  • よって、大陸からの汚染物質の移流によりSO42-等の濃度が高くなったことがPM2.5質量濃度が高濃度となった一因と考えられる。

図10 平成23年度秋季グラフ

(4)冬季(高濃度日:2月5日)
  • 高濃度日に風速が弱かったことから、大気が拡散せずに汚染物質が蓄積しやすい状況にあったと考えられる。
  • また、気象データを用いて気塊の移動経路を計算すると大陸からの移流がみられ、SO42-等の濃度上昇は大陸からの汚染物質の移流の影響もあったと考えられる。
  • よって、気象条件による汚染物質の蓄積に加え、大陸からの汚染物質の移流によって、NO3- 、OC及びECに加えSO42-濃度が高くなったことがPM2.5質量濃度が高濃度となった一因と考えられる。

図11 平成23年度冬季グラフ

(1)から(4)をまとめると下表のとおりである。

  気象条件による大気汚染物質の蓄積 大陸からの大気汚染物質の移流
春季  
夏季  
秋季  
冬季
 (:影響あり)

 

■お問い合わせはこちら

環境研究部 環境調査グループ

[TEL]072-979-7064

[FAX]072-956-9790

ページトップ