大阪府立環境農林水産総合研究所

 

[農林]2つの共同研究成果が2014年農林水産研究成果10大トピックスに選定されました

公開日 2014年12月24日

 当研究所の共同研究成果「飛ばないナミテントウの育成と利用技術の開発」「豚ぷんをリン鉱石代替物に変換する技術を開発」が2014年農林水産研究成果10大トピックス(※)に選定されました。

                                                                                                                      

(※)この1年間に新聞などで取り上げられた民間、大学、公立試験研究機関及び独立行政法人研究機関の農林水産研究成果の中から、内容が優れ社会的関心が高いものを農林水産技術会議事務局が農業技術クラブ(農業関係専門紙・誌など29社が加盟)の協力を得て選出するものです。

 

飛ばないナミテントウの育成と利用技術の開発

 独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター(以下「近中四農研」)は、薬剤での防除が困難なアブラムシを駆除するため、天敵のナミテントウの中から飛翔能力が低く作物上によく定着する系統(飛ばないナミテントウ)を育成しました。飛ばないナミテントウの実用化を研究し、大量増殖や品質管理法を開発するともに、複数の作物において飛ばないナミテントウの効果的な利用法を考案しました。その結果、本年6月には、施設野菜類用の天敵製剤として販売され、利用法を解説した技術マニュアルも発行しました。

 当研究所は、コマツナなど登録農薬の少ない非結球アブラナ科野菜栽培において、飛ばないナミテントウの利用によるアブラムシ防除効果を確認し、利用指針を作成しました。

 飛ばないナミテントウを利用することにより、農薬使用を削減したアブラムシ防除が可能になり、安全・安心な農産物の生産が可能になります。
 

<共同研究機関>
近中四農研(代表機関)、岡山大学、(株)アグリ総研、兵庫県、和歌山県、奈良県、徳島県

 

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アブラムシの天敵 飛ばないナミテントウ
アブラムシの天敵
飛ばないナミテントウ

豚ぷんをリン鉱石代替物に変換する技術を開発

  リンを多く含む豚ぷん堆肥を炭化し、リン濃度の高い炭化物を効率よく回収する技術を確立しました。得られた炭化物はリン鉱石の半分以上のリン濃度を有しており、リン鉱石の代替や有機肥料としての効果を確認しました。

 当研究所は、炭化物の肥料としての有効性を確認し、利用指針を作成しました。

 農業用肥料の原料として欠かせないリン鉱石は、世界的に資源の枯渇が危惧されています。本技術の開発により、養豚業者にとっては堆肥の有効活用や環境負荷低減などのメリットがあり、地域にとっては新たな産業と雇用を創出でき、さらにはリン資源の安定確保が期待できます。

 

<共同研究機関>
日立造船株式会社(代表機関)、宮崎大学、熊本大学

 

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豚ふん炭化実証試験機
豚ふん炭化実証試験機

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