大阪府立環境農林水産総合研究所

[農林][報道]農作物難防除害虫の総合防除技術開発の業績により柴尾総括研究員が「農業技術功労者表彰」を受賞!

公開日 2022年12月16日

 柴尾学総括研究員が、難防除害虫アザミウマ類の生態解明と総合防除技術の開発に取り組んだ業績により、令和4年度(第78回)「農業技術功労者表彰」の農林水産技術会議会長賞を受賞しました!この業績は全国の研究者および普及指導員等の技術者に活用され、農業現場におけるアザミウマ類防除対策に貢献しています。

受賞概要

【受賞者】
食と農の研究部 総括研究員兼園芸グループリーダー 柴尾 学(しばお まなぶ)
【業績名】    
難防除害虫アザミウマ類の生態解明と総合防除技術の開発
【業績概要】
多くの野菜、果樹、花きなどを加害する難防除害虫アザミウマ類の発生生態の解明と総合防除技術の開発に取り組んだ。

どのような研究内容が評価されたの?

国内のアザミウマ類主要5種のうち、ミナミキイロアザミウマでは、捕食性天敵と天敵微生物を組み合わせた施設ナス・キュウリの総合防除体系を確立するとともに、赤色LED光と光反射シートを利用した防除技術を開発しました。  ネギアザミウマでは、ソラマメ葉片を利用した薬剤殺虫効果の調査法を開発するとともに、露地イチジクで防虫ネットと光反射シートを利用した防除技術を開発しました。チャノキイロアザミウマでは、露地ブドウにおける発生予察手法を開発するとともに、捕食性および寄生性天敵の発生変動を解明し、それらを活用した防除技術を開発しました。
また、ミカンキイロアザミウマおよびヒラズハナアザミウマについても、ナスやキクでの生態解明と総合防除技術の開発に取り組みました。

ミナミキイロアザミウマ 赤色LED装置を照射したキュウリ コウズケカブリダニに 捕食される チャノキイロアザミウマ幼虫

左または上から、ミナミキイロアザミウマ、赤色LED装置を照射したキュウリ、コウズケカブリダニに捕食されるチャノキイロアザミウマ幼虫

研究成果はどのように活用できる?

 得られた研究成果は「薬剤抵抗性農業害虫管理のためのガイドライン案(2019)ネギアザミウマ」や「赤色LEDによるアザミウマ類防除マニュアル(2019)」などにまとめられ、赤色LED装置は商品化が進められています。施設ナス、施設キュウリ、イチジクを対象にアザミウマ類のIPM体系マニュアルが作成され、大阪エコ農産物の栽培面積拡大に貢献しました。単行本「アザミウマ防除ハンドブック-診断フローチャート付-(2016)」は農業現場で活用されています。 

今後の展望は?

 アザミウマ類だけでなく、他の難防除害虫についても生態解明と新たな防除技術の開発を進め、環境に配慮した総合防除技術の開発に取り組んでいきます。

研究内容の詳細は大阪府立環境農林水産総合研究所までお問合せください。

左:石井実 理事長 右:柴尾学 総括研究員 、 受賞記念花器

左:石井実 理事長 右:柴尾学 総括研究員 、 受賞記念花器

*「農業技術功労者表彰」とは

農業その他関連産業に関する研究開発の一層の発展及び農業技術者の意欲向上に資するため、農業技術の研究もしくは普及指導または農業経営関係の研究もしくは改善指導に顕著な功績があった者に対して、農林水産省農林水産技術会議会長賞を授与。  原則として、当該表彰が行われる年度の4月1日時点において40歳以上であり、かつ、農業技術の研究もしくは普及指導に関する業務または農業経営関係の研究もしくは改善指導に関する業務に従事する個人(独立行政法人、都道府県、地方独立行政法人、国立大学法人、公立大学法人等の研究者等)であって、
1.農業技術の研究又は普及指導において、顕著な功績があった者
2.農業経営関係の研究又は改善指導において、顕著な功績があった者
のいずれかが対象。表彰数は農林水産技術会議会長賞6件。(農林水産技術会議HPをもとに記載)

添付資料

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