大阪府立環境農林水産総合研究所

図鑑

淡水魚図鑑(外来種)

府内には生息しない種

カワマス

カワマス

本種はサケ科に属し、在来種のイワナの仲間オショロコマ、外来種レイクトラウトなどと同じイワナ属。背ビレに特徴のある斑紋をもち、稚魚・幼魚では黒点、若魚・成魚では黒い虫食い模様となる。体側は暗褐色の地色に黄色い斑点と白い輪で囲まれた赤点がある。胸ビレ、腹ビレ、尻ビレは赤く、前縁は白く縁取られる。雄の腹部は赤くなる。
 天然分布域は北アメリカ東海岸、カナダ東部で、本邦へは1902年にアメリカから日光湯ノ湖に移入された。その後、各地へ移殖され、日光湯川や北海道の河川など中部地方以北で定着している。本種は水温の低い河川や湖を生息場所とするが、特に湧水の豊富な水域で定着している。これは産卵に湧水域を利用することに関係すると考えられる。原産地では降海型もいるが、本邦に移殖されたのは陸封型のみ。全長50cm程度に成長する。
 水生昆虫や水面に落下する陸上生物などを食べるが、小魚や両生類なども餌とする。そのため、在来生物に対する食害が懸念されるが、さらに本種は他のイワナ類と容易に交雑する。本州中部のイワナとカワマスが同所的に生息する河川では、大半の個体が雑種であったとの事例も報告されている。また、北海道ではアメマスにも遺伝的撹乱をもたらしている。生態系被害防止外来種リストにより、「その他の総合対策外来種」に指定されている。