大阪府立環境農林水産総合研究所

図鑑

淡水魚図鑑(在来種)

サ行

ゼゼラ

ゼゼラ

 ゼゼラ Biwia zezera はコイ科カマツカ亜科の魚で、濃尾平野、琵琶湖・淀川水系、山陽地方、九州北部に自然分布する。琵琶湖産アユの種苗放流に混ざって琵琶湖集団が全国に移殖されており、関東平野一円・新潟県などに生息するほか、他地域集団の遺伝的汚染が起こっている。主に川や湖沼の砂底から砂泥底の場所で生活し、下向きの小さな口で底生藻類や小型の底性の浮遊植物などを食べる。産卵期は4月中旬から7月下旬で川岸のヨシやマコモなどの根に卵を付着させる。ヨドゼゼラ同様、オスは産卵期になると黒色を示すなどの二次性徴が現れ、強いなわばりをもつ。夕方から夜にかけて産卵放精する。半年で3~4cm、1年で7㎝弱に成長する。1年で成熟し、多くのものの寿命は約1年である。
 本種は、近年減少傾向にあるが、淀川における生息実態は明らかになっておらず、早急な実態解明が求められる。環境省レッドリスト2020および大阪府レッドリスト2014において、それぞれ「絶滅危惧Ⅱ類」に指定されている。