大阪府立環境農林水産総合研究所

図鑑

淡水魚図鑑(在来種)

タ行

チチブ

チチブ

本種はハゼ科チチブ属に属し、国内では青森県から九州まで広く分布する。国外では朝鮮半島に生息 する。府内では淀川下流域や泉州地域の河川での生息記録がある。河口域や河川下流部の礫や転石, テトラポッドなどの周辺に生息しており、隠れ場所になわばりをつくる。 雑食性で藻類や小型の小動物まで何でも食べる。純淡水への適応性も高い。 形態はヌマチチブと酷似しており、過去には同一種とされていた。尾柄がヌマチチブに比べて太い ため,ずんぐりした印象をもつことや、ヌマチチブでは胸ビレ基底部に黄土色の横帯がありその中に不規則に走る 橙赤色の線があること(繁殖期のオスを除く)、頭部側面の斑紋が異なることなどが区別点であるが 個体差などがあるため見分けるのは容易ではない。  雄の成魚の第一背びれの鰭条は糸状にのびる。産卵期は5~9月で、オスが石の下や石垣の隙間、空き缶などになわ ばりをつくって、メスを誘い込む。雌は産卵室の天井に産卵し、オスはふ化まで卵を守る。1年で成熟する。