大阪府立環境農林水産総合研究所

サワラを増やす(2)

サワラを増やす(2)

サワラを育てて放流する

サワラを育てて放流するまでには、天然採卵・種苗生産・中間育成という手順を行います。

それぞれの手順について写真を使って説明します。

 

(天然採卵1)
サワラの親魚は大きく、また泳ぎも早いため、飼育は非常に困難です。
このため、受精卵を得るには卵を産む4月から5月に天然のサワラを捕まえ、船の上で卵と精子を絞り、人工授精させます。
また、夕方から網によく掛かるため、夜間の作業となります。

 

 

 

(天然採卵2)
得られた受精卵は海水で良く洗浄し、出来るだけ静かに水産技術センターまで運びます。

 

 

 

 

 

(天然採卵3)
持ち帰った卵のうち、沈んだ卵は死んでいるので取り除き、浮いた卵だけをネットを張った卵管理槽に収容します。
管理槽でふ化した子供は、ALCという色素を溶かした海水中に12時間程度泳がせて標識をつけます。
→詳しくは「放流効果を調べる」

 

 

 

 

(稚魚の飼育1)
耳石染色の終わった仔魚を100キロリットルの水槽に収容し飼育します。

 

 

 

 

 

(稚魚の飼育2)
サワラは最初から他の魚の仔魚を食べるため、入手しやすいマダイやクロダイの受精卵を毎日供給します。ふ化後約2週間がたったある日、突然マダイやクロダイの仔魚が食べ尽くされますので、次の段階のエサを用意します。

 

 

 

 

(稚魚の飼育3)
サワラは基本的に魚しか食べない上、エサが不足すると共食いをします。
そこで、エサとして安定的に手に入り、栄養素が揃っている冷凍のイカナゴを与えます。
明るい間はエサを食べ続けるため、途切れないように手作業でエサを与え続けます。

 

 

 

 

(取り揚げ)
ふ化後約4週間、全長約45mmで、一部を漁業者に配付します。この稚魚は海上生簀(いけす)で飼育されます。
残りの稚魚はそのまま水槽で飼育します。

 

 

 

 

 

(中間育成)

ふ化後約5週間あたりから、群れになって泳ぎ始めます。この頃になると1水槽あたり20kg近くのイカナゴを食べます。

 

 

 

 

 

(放流1)
ふ化後約6週間、全長100mmで放流します。水槽で飼育していた稚魚は取り上げ、バケツで地先海面に放流します。

 

 

 

 

 

(放流2)
海上生簀で飼育していた稚魚はタンクに積み込み、少し沖合で放流します。  

 

 

 

 

 

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