大阪府立環境農林水産総合研究所

[農林][報道]農作物害虫オオタバコガの防除適期をシミュレーションモデルにより予測―今後の地球温暖化の影響も予測可能―

公開日 2017年08月24日

 オオタバコガ(1)は、ナスやキクなど野菜や花の重要害虫で、夏から秋に幼虫(2)が葉や果実、花などを食害し、収穫量や商品価値を低下させます。この害虫の被害を効率的に防ぐためには、発生が最も多くなる時期を把握し、適期に殺虫剤を散布することが重要です。しかし、地球温暖化の影響により、この害虫の発生最盛期は早期化し、年によって変動しています。

 そこで、当研究所では、オオタバコガの発生時期を予測するシミュレーションモデルを作成しました。本モデルは、日本植物防疫協会がWeb上で会員に提供しているインターネットサイト(有効積算温度計算シミュレーションversion2)と気象庁のアメダス気温データを利用します。オオタバコガの成長と気温との関係に基づき各種パラメータを設定し、フェロモントラップによる雄成虫の発生消長とシミュレーションモデルが推定した成虫の発生最盛日を比較したところ(3)、その差は全比較の約7割で前後5日以内に収まり、その適合性が確認されました。この結果より、オオタバコガの発育ステージごとの発生最盛期を本モデルで予測(4)することが可能となりました。

 本年7月から、大阪府環境農林水産部農政室が毎月提供している病害虫発生予察情報に、本モデルで予測した成虫の発生最盛期と幼虫の防除適期を掲載し、オオタバコガの効率的な防除を呼びかけました。また、本モデルは、地球温暖化が今後も進行した場合のオオタバコガの発生最盛期の予測も可能です。例えば、年平均気温が現在より1.0℃上昇した場合、成虫の発生最盛期は現在より7~10日早まり、特に晩夏から秋の発生はより早まると予測されます。

 大阪府の野菜や花の安定生産につなげるため、本モデルを活用した予測情報を今後も提供していきます。

オオタバコガ予察イメージ図

添付資料

プレスリリースPDF版(486KBytes)

オオタバコガ予察イメージ図(430KBytes)

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