公開日 2013年11月26日
暖かい時期に栽培している「しゅんぎく」の下葉の枯れや腐敗の原因については、これまでよくわかっていませんでした。
このたび、当研究所及び大阪府、(独)農業生物資源研究所、(独)森林総合研究所の協力により、遺伝子解析技術を使って、病原菌Gibellulopsis chrysanthemiによる新病害が原因であることが判明しました。病原菌を分離した当研究所をはじめとする4機関で、本病害を「シュンギク苗腐敗病」と命名し、日本植物病理学会に報告しました。
本病害については、幼苗のころに感染するとその後の生育不良や枯死につながるため、当研究所では、本病害の周知とハウス内の湿度管理の徹底などを大阪府の農の普及課等を通じて、呼びかけていきます。
【成果の概要】
この病原菌の生育温度は3~34℃と広いため、温かい時期だけでなく、冬にも発生することがあると予想されます。湿り気を好むため湿度が高ければいつでも発生しやすいと考えられます。
実験的にはレタスや菊なども発病することがありますが、自然状態ではしゅんぎく以外の植物の発病は知られていません。
この病害の防除に使える農薬は現在ありません。今回の病名の命名を機に防除等に関する研究が進むことが期待されます。
この病害を予防するには、病害の発生した葉を放置しないこと、圃場の湿度を下げること、灌水の際に水が跳ね上がらないようにすることが重要です。
しゅんぎくの発病の様子
「シュンギク苗腐敗病菌」の胞子
添付資料
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