大阪府立環境農林水産総合研究所

[農林][報道]ぶどうハウスの換気装置を開発~高温障害を回避!~

公開日 2013年11月08日

 当研究所は、これまで開閉できなかった※波状型ぶどうハウスの天井部分を、簡単に開閉する装置を開発し、特許出願を行いました(特願2013-207659)。

 

 農業の生産現場では、異常高温による農作物への影響が顕著になっており、ぶどうでは着色不良が大きな問題となっています。ぶどうは、棚仕立てで栽培するため、高温の空気がたまるハウス天井部近くで成長し、高温の影響を特に受けやすくなっています。

 

 開発した換気装置は、波状型ハウスの天井部分のビニールを簡単に開閉できる装置で、これまでになかった初めての装置です。この装置を利用することで、熱い空気を外へ逃がし、ハウス側面からの風を取り入れ、春先の葉やけや着色不良などの高温障害を効率的に予防できます。

 

 この装置は、大阪の農業者をはじめ大阪府から寄せられた「大阪特産のぶどう栽培の高温障害対策技術の開発」要請にこたえたもので、今後、大阪府や関係団体とともに普及を図っていきます。

 

※波状型ハウス

 直管パイプだけを骨組みとしたビニールハウスで、複雑な地形でも安価で簡単に設置できる特徴を持ちます。積雪には弱いので、大阪や岡山など、温暖な地域で普及しています。

 

ぶどうハウス換気装置

垂直開閉器具
写真1 新開発した垂直開閉装置
左:広げたところ 右:閉じたところ

 

設置状況
写真2 開発した装置で天井ビニールを開けているところ

 

【大阪のぶどう栽培の状況】

 大阪府はぶどう栽培が盛んで、全国第7位の収穫量(4,790t H23年度)を誇ります。品種ではデラウェアが全体の約85%を占めていますが、大粒系の巨峰やピオーネに加え、最近ではシャインマスカットも増加傾向にあります。主要産地は、金剛・生駒山麓に広がる柏原市、羽曳野市、太子町のほか、交野市や大阪狭山市などで多く栽培されています。大阪のぶどう専作農家のハウス化率は70%を超えており、多数が波状型ハウスです。しかし、近年の温暖化により、波状型ハウスでは高温障害(春先の葉焼け症状や着色不良など)が深刻化していることから、生産現場からは有効な対策技術が求められています。

添付資料

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