農林分野 安全で豊かな食と農を支える調査研究

本田管理 その3

本田管理 その3

水稲の施肥ー基肥、穂肥
<基肥の施肥方式>

水田の施肥には
全層施肥(耕起-施肥-耕うん-入水-代かき)
表層施肥(耕起-耕うん-入水-代かき-施肥)
側条施肥(移植時に施肥田植機で株のそばの側条土中に埋め込み施肥)
の3種類があるが、通常は全層施肥を行うことが多い。

表層施肥は施肥効率・肥効の持続に問題があり、排水中に窒素が流失し環境に負荷を与えやすいので避ける。
側条施肥は水に肥料分が流亡しにくく効率的で10~30%肥料を減量できるが、田植機に専用の施肥アタッチメントが必要である。また側条施肥を行った場合は、根張りが不十分になりやすく、前期は過繁茂、中期~後期にかけ肥切れが起こりやすく秋に向けて生育の凋落傾向が見られる場合があるので対策として側条施肥時は緩効性肥料の利用が望ましい。

<施肥量>

施肥量は地域、土壌土質、灌漑水の水質等の環境条件や品種、栽培法、作付体系等の栽培条件によって異なる。したがって標準施肥量はあくまでも目安であるのでこれを基準に加減することが必要である。

大阪府水稲品種別窒素施肥量の目安

P リン酸肥料はP成分で6kg/10a程度を全量基肥で施用する。
K カリ肥料はN窒素と同量のK成分量を基肥と穂肥に施用する。

  • 粘土質土壌では肥持ちが良いのでN施肥量はやや少なめとする。
  • 砂質土壌では流亡が多いので基肥は控え目にし中間追肥や穂肥の分施で補う。
  • 都市汚水流入田では灌漑水のN成分を考慮し減肥する。
  • 前作の野菜等の残存肥料が多い田では倒伏を避けるため、基肥Nをゼロにする等の減肥を行う。

<中間追肥>

過繁茂・倒伏抑制、病害虫対策などの理由から、近年は中間追肥が省略され、基肥と穂肥のみにするようになってきたが、肥持ちの悪い水田や天候不良で初期の生育が不足する場合は、出穂40日前までに(おおよそ田植え後一ヶ月以内)窒素成分で2kg/10a以内の追肥を施すとよい。
ただし出穂40日前を過ぎて施用すると倒伏の危険性が高まるので注意。特にコシヒカリには施用しないこと。

<穂肥>

穂肥は一穂籾数の増大や登熟の向上など、稲の生育後期のための重要な施肥である。
施用時期は幼穂形成期(出穂前25~20日前)と減数分裂期(出穂13~8日前)の2回に分けて施用することが望ましい。
都合で1回しか施用出来ない場合は出穂20~15日前に行う。
ただし、コシヒカリ等倒伏しやすい品種は、早く施用しすぎると栄養成長に効いて倒伏しやすくなるので、出穂18日前と4日前の2回に遅らせる必要がある。
また綿実粕などの有機肥料等肥効発現に時間がかかる肥料を用いる場合は3~4日早めに施用するようにする。

<実肥>

出穂から穂揃期(出穂10日後)までに施す追肥のこと。出穂後の窒素不足は、光合成能力の低下や稲体の老化を招く。その結果、登熟歩合や千粒重の低下、倒伏、いもち病の発生を助長する。しかし実肥を施すと玄米のタンパク含量が増えて食味が悪くなるといわれ、最近では実肥を敬遠する傾向がある。しかし、食味は窒素含量だけでは決まらず、肥料不足で粒張りが悪くなったり、未熟米や茶米になって食味が低下することも多い。
特に疎植、基肥減肥で茎数をじっくり確保した場合や出穂後の天候が良いときなどは実肥の効果が高いのでやってみる価値はある。やるばあいは速効性の肥料で窒素成分2kg/10a以内にする。
根腐れ気味のときや穂数過剰で受光態勢が悪い場合、穂揃期以後の遅れた実肥などは、吸収しても窒素を同化しきれず、明らかに食味が悪くなる原因になるのでやらないほうがよい。

近年問題になっている高温登熟障害による白未熟粒の発生を軽減するためには登熟中期から後期の窒素切れを起こさないことが肝心で、適切な実肥の施用が障害防止効果があるとの報告もある。

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