大阪府立環境農林水産総合研究所

[環境][お知らせ]生物多様性センターフォーラム「守ろう!おおさかの生物多様性 多様な主体の連携で取り組む外来生物対策」を開催しました!

公開日 2022年11月10日

 環農水研生物多様性センターでは、日本生態学会近畿地区会との共催で、2022年9月27日(火曜日)に生物多様性センターフォーラム「守ろう!おおさかの生物多様性~多様な主体の連携で取り組む外来生物対策~」を開催しました。

 現地とZoomウェビナーを使用したオンライン開催とし、全国から約100名の方にご参加いただきました。

 ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!

会場の様子


 初めに、生物多様性センター長の平松より開会挨拶をいたしました。

 開会挨拶では、外来生物は目新しいテーマではないものの、新たな外来生物の侵入がやまない中にあっては、早期発見が大切であること。

 そのために、参加者の皆さまには本フォーラムへの参加を通して、外来生物に対する新たな見方を発見していただきたい、といったことをお話しました。

開会挨拶


 話題提供では、まず調査研究機関の事例として、生物多様性センターの相子より、「大 阪の生物多様性を脅かす外来生物~調査研究の最前線~」と題してお話しました。

生物多様性センター相子

 話題提供1題目ということもあり、生物多様性の重要性や現状についてご紹介した後、2022年3月に策定された大阪府生物多様性地域戦略内においても「外来生物の被害対策に関する調査研究」が重要な項目として位置付けられていることをご紹介しました。

 また、生物多様性センターの取組として、クビアカツヤカミキリの分布拡大予測や、環境DNA分析手法を用いた魚類相の把握、チャネルキャットフィッシュの生態調査といった、外来生物調査研究の最新の動向をお話しました。

 今後については、府内の生物および生態系の把握と効率的な把握手法の導入、情報集約・成果の見える化、情報共有の迅速化、市民参加の仕掛けづくりといったことをお示しました。


 次に、市町村の取組の先進事例として、堺市環境局環境保全部環境共生課の奥田 陽紀様より、「堺市の外来生物対策について」と題してお話いただきました。

堺市環境共生課奥田氏

 大阪府内で大阪市に次いで人口が多い政令指定都市である堺市。

 様々な希少種が生息する一方で、外来生物も侵入しています。

 外来生物に対する取組として、「外来種アラートリスト」の作成や、ウェブサイト「堺いきもの情報館」の運営について紹介がありました。

 堺いきもの情報館は、市民が発見した生物の情報をWEB上に集約する仕組みになっており、これを活用した生息場所の公開に取り組まれているほか、市民からの投稿によって外来生物の分布拡大が明らかになった例もあるということでした。

 また、子ども向けのコンテンツもあり、”外来種を一概に悪者扱いするのではなく、どのようにしたら同じような生きものを増やさずにすむのか”という観点からの情報発信にも取り組まれているということでした。

 さらに、庁内においても情報館に寄せられた情報を迅速に共有し、対策につなげているとのことでした。

 今後については、市民との協力体制の構築や、市民への情報発信力の強化、職員を含めた施設管理者等の知識取得等を挙げられていました。


 次に、大阪城公園の管理者である大阪城パークマネジメント共同事業体・大和リース株式会社の菅野 浩一様より、「大阪城公園外来生物の陣~公園管理における取組~」と題してお話いただきました。

大和リース株式会社菅野氏

 大阪城公園に生息する外来生物の紹介に加え、今後侵入が危ぶまれる種としてクビアカツヤカミキリが挙げられるとのことでした。

 また、クビアカツヤカミキリが侵入した場合の早期発見のため、中学生と連携して実施した一斉調査の紹介がありました。

 中学生約120名が一斉に調査を行い、1日で大阪城公園の桜約3,000本のうち約1,000本の桜を調査することができたとのことでした。

 (生物多様性センターも連携して実施しており、調査の様子はこちらからご覧いただけます

 今回は幸いなことにクビアカツヤカミキリは確認されませんでしたが、今後も、継続して学生や市民の力を活用した調査を行っていきたいとのことでした。

 また、外来生物対策も含めた生物多様性の保全のため、これまでの画一的な公園管理を見直す取組が行われているとの紹介もありました。


 話題提供の最後は、バイオーム株式会社の藤木 庄五郎様より「スマホアプリを用いた市民参加型の外来種分布調査」と題して話題提供がありました。

 (バイオームさんは生物多様性センター第6回談話会「新たな手法でここまで分かった! おおさかの生物多様性」にもご登壇いただきました

株式会社バイオーム藤木氏

 生物の識別機能をもつAIを搭載したいきものコレクションアプリ「Biome」を中心とした事例紹介がありました。Biomeでは、全国から1日1万件の情報が集められており、外来生物に関しても、フォーラム開催時点で約20万件の報告があったとのことでした。

 また、得られた情報をもとに、分布マップの作成や、出現時期の予測等を行い、駆除活動に活かされているとのことでした。 

 さらに、生物の見分け方コンテンツの強化によって撮影した生物が外来生物かどうかを判別したり、自治体と連携し、外来生物が見つかった際に初期段階で対策を打つことができる体制構築に取りまれており、外来生物駆除先進国日本を目指すとのとても心強いお話がありました。


 質疑応答・総合討論では、現地・オンライン参加の皆さまから多数の質問をいただきました。

 「いきもの情報館」とBiomeの取組の共通点(市民が撮影した写真をマッピングする)から、連携して相乗効果をはかれないか、外来生物に強い公園・まちづくりはどのようなものか・・・などといった質問に対する議論の後、最後には、今回のフォーラムの一つの

 キーワードとなった「市民参加」をもっと盛り上げるために、各登壇者より提案がありました。

 まずは市民に興味を持ってもらうこと、そのために専門家や少し詳しい人から情報発信していくこと、また、無理なく、楽しみながら参画できる仕組みづくりの提言がありました。

パネルディスカッション


 また、当日会場では生物多様性センターの取組である「おおさか生物多様性リンク」の連携団体の皆さまにご協力いただき、団体紹介のパネル展示を行いました。

 今回話題提供いただいた皆様も、「おおさか生物多様性リンク」の連携団体になっていただいています。

パネル展示


 参加者のアンケートでは、回答された方全員に「大変満足した」「満足した」とご回答いただきました。

 また、「外来生物問題への取組が、具体的によく理解できた」「市民参加できる仕組みについて大変参考になった」といったご意見をいただきました。

 当センターにおいても、「情報発信」や「市民参加の仕掛けづくり」といった、今回のフォーラムでも各話題提供でのキーワードとなった体制づくりを進めながら、今回話題提供いただいた皆様をはじめとして多様な主体と連携を深めながら取り組んでいきます。

 

関連リンク

おおさか生物多様性リンク

 

添付資料

プレスリリース_「守ろう!おおさかの生物多様性~多様な主体の連携で取り組む外来生物対策~」(2022年8月26日)環農水研[PDF:928KB]

チラシ_「守ろう!おおさかの生物多様性~多様な主体の連携で取り組む外来生物対策~」[PDF:739KB]

 

■お問い合わせはこちら

生物多様性センター (環境研究部 自然環境グループ)

担当:幸田・近藤・丸山

[TEL]072-833-2770

[FAX]072-831-0229