大阪府立環境農林水産総合研究所

[環境][お知らせ]外来ユリの拡散を防ぐための除去作業を行いました

公開日 2021年09月06日

 

シンテッポウユリは、在来種で九州南部や沖縄などに分布するテッポウユリと、台湾原産の外来種であるタカサゴユリをかけあわせた園芸品種です。花を素早く咲かせ多数の種子をつけるなど繁殖力が非常に強く、緑化に用いられたことから、近年、自生範囲が急速に広がり全国的に分布を拡大しています。

夏場に咲くきれいな花が目を引きますが、環境省の「生態系被害防止外来種リスト」「その他の総合対策外来種」に指定されており、対策が必要です。

管理されたお庭などに植えて楽しむことには問題はありませんが、管理されていない場所で意図せず自生範囲が広がっていくことで、在来種を脅かすなどの悪影響が懸念されています。
 
外来種の対策を効果的に行うためには、早期発見・早期対策が欠かせません。
 
環農水研(羽曳野サイト)内でもシンテッポウユリの侵入が確認されていますが、令和2年12月の調査の結果、ごく一部のみに群生する侵入初期段階であることが分かりました。その際、侵入初期段階で食い止められるよう、緊急対策として種子の入った蒴果の除去を行いました。

そして現在。12月の除去作業の際に地下部に残った球根から再生したシンテッポウユリの開花が始まりました。花が咲いた今なら、シンテッポウユリを簡単に発見・識別することができます。今回は、種子形成をさせないこと、光合成をできなくすることで球根への栄養供給を止めることを目的として、シンテッポウユリを引き抜き、地上部を除去する作業を行いました。

今回除去したのは、合計167個体。
多いものでは1つの蒴果で1000個もの種子をつけるといわれていますので、効率よく分布拡大を抑え込むことができる効果的タイミングであったと考えています。
今後も状況を確認しながら、対策を進めていきたいと考えています。

 

シンテッポウユリのつぼみを引き抜く 

    引き抜いて地上部を除去しました

シンテッポウユリのつぼみを引き抜く

        除去した地上部

シンテッポウユリを袋に詰める

    本数を数えて袋に入れて処分しました

 

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