環境分野 快適な環境や生物多様性の保安全を支える調査研究

寝屋川における水生生物の生息実態調査

寝屋川における水生生物の生息実態調査

生物多様性センター

研究の背景及び目的

 寝屋川は生駒山系に源を発し、寝屋川市、大東市、大阪市を流れ、大川(旧淀川)と合流する1級河川で、最近その流域には水草が繁茂し、春にはコイの産卵が観察されます。その景観は住民に安らぎを与える空間となっているが、岸壁は垂直であるため、住民が近づくのを拒んでいます。また、下流は水質が悪化し、魚類が生息しない地域も見られます。こうした都市河川の現状や生物の生息実態を把握し、住環境を向上させるため、河川の清浄化や親水利用を図る総合的な方策を検討する必要があります。

 そこで、寝屋川(寝屋川起点から恩智川合流付近まで)の水生生物の生息実態と水辺環境を調査し、流域の総合的な維持管理手法を検討しました。

調査方法

  寝屋川起点から恩智川合流地点(調査区間11.5km)までの間の10地点において、生物相調査と水質調査を実施しました。

 

1)生物相​調査

魚類-投網、すくい網、目視    水生植物-採集、目視 その他の生物-すくい網、目視

2)水質調査

水温、DO、pH、電気伝導度(水質チェッカ-)
COD、無機態窒素、リン酸態リン(常法)、流速(流速計)

結果

1)生物相調査

  1. 寝屋川上流には絶滅危惧種のメダカが多数生息しています。
  2. 寝屋川では、14年度調査で観察されたコイ、フナ、オイカワ、モツゴ、タモロコ、コウライモロコ、タイリクバラタナゴ、カマツカ、ニゴイ、ドジョウ、タウナギ、オオクチバス、ブル-ギル、ドンコ、メダカ、カダヤシ、ボラの17種類に加え、15年度新たにカワムツ、ヨシノボリ、ヌマチチブの3種類(計20種類)が確認され、そのうち、淀川清浄水流入後のSt.5(古川浄化導水路取水口付近)ではコイ、フナ、オイカワ、モツゴ、コウライモロコ、カマツカ、ニゴイ、オオクチバス、ドンコ、ヌマチチブ、カダヤシ、ボラの13種類が採集されました。
  3. その他の水生生物は、爬虫類でアカミミガメ、クサガメ、両生類でトノサマガエル、ウシガエル、甲殻類でアメリカザリガニ、スジエビ、ヌマエビ、テナガエビ、モクズガニ、ミズムシ、ケンミジンコ、昆虫類でイトトンボの一種、コシアキトンボ、シオカラトンボ、コカゲロウの一種、トビケラの一種、ユスリカの一種、アメンボの一種、環形動物でイトミミズ、ヒルの一種、軟体動物でマルタニシ、イシガイ、カワヒバリガイ、鳥類でコサギ、アオサギ、カルガモ、カワセミが見られ、15年度新たにマシジミが確認されました。
  4. 水生植物は、清浄水流入前の上流ではアシ、アオミドロに加え、セリとガマの生育を確認しました。流入後の下流ではアシ、ヤナギモ、ササバモ、ホザキノフサモ、エビモ、コカナダモ、オオカナダモの7種類と15年度新たにハゴロモモ、ホソバミズヒキモが確認されました。

2)水質調査

  1. 水温は、5月で19.9~24.0℃で、下流で19.9~21.6℃と低い値を示しました。8月は28.1~30.1℃と大きな差は見られなかったが、11月は上流で13.7~14.3℃、流入後のSt.4~7で18.3~18.6℃、St.8~10で14.3~16.3℃となり、特にSt.4~7で暖かい下水処理水、温水器排水を含んだ淀川清浄水の影響が顕著に見られました。
  2. DOは、5月で上流では8.40~10.08mg/l、St.4~9で7.36~11.34mg/l、St.10で3.13mg/lとなり、恩智川合流付近で汚水の流入で低い値となりました。8月、11月では上流でそれぞれ7.75~10.83mg/l、9.83~10.29mg/l、St.4~7で7.47~8.00mg/l、8.26~10.45mg/l、St.8~10で2.24~4.52mg/l、5.36~5.79mg/lとなり、上流は止水状態で植物プランクトンが繁殖し、光合成作用で高い値を示しました。St.4~7で5月と大差なく、St.8~10では恩智川汚水の影響が見られました。 
  3. pHは、5月で7.09~9.36、8月で7.01~8.86、11月で6.94~7.93で、8月、11月に光合成作用の影響で上流で若干高い値を示したが、その他は大きな差は見られませんでした。
  4. 電気伝導度は、5月で0.304~0.432mS/cm、8月で0.157~0.375mS/cm、11月で0.276 ~0.431mS/cmとなり、下流の方が少し高い値を示しました。
  5. CODは5月は上流で7~8mg/l、下流St.4~9では5~8mg/l、St.10では30mg/lとなり、清浄水流入後低い値を示したが、恩智川合流付近で汚水流入のため、高い値となりました。8月はSt.1~9で5~7mg/l、St.10で8mg/lで、清浄水の影響は少なく、恩智川汚水の影響がSt.10で顕著でした。11月は上流で5mg/l、下流で6~10mg/lとなり、下水処理水、温排水の影響が見られました。
  6. 無機態窒素では、NH4-Nは各季とも概ね上流で高く、清浄水流入後は低くなり、徐々にその影響が少なくなると高い値を示すようになりました。NO3-N、NO2-Nは各季とも概ね下流へ行くほど高い値となりました。
  7. リン酸態リンは、5月、8月はどの調査地点においても検出されないかあるいはごく少量検出されるだけでした。11月は下水処理水等の影響でSt.4~9で高い値を示しました。
  8. 流速は、上流では各季ともほとんど流れがなく止水状態でした。下流では、清浄水流入付近では流れが速く、St.5、6付近で緩やかになり、St.7付近で再び速くなり、St.8、9付近は流速が速くなったり遅くなったりと大きく変動しました。水質環境は14年度と概ね同様の傾向を示しました。

成果の活用と今後の展開

1.都市河川において60数種類もの水生生物の生息、生育が確認されたことは特筆すべきことです。

 

20種類の魚が生息(大阪府で確認された淡水魚(汽水魚も含む)の1/4が生息)上流部には国の絶滅危惧種のメダカが大量に生息。
コイなどの産卵が観察できます。汽水魚のボラの遡上が見られます。
魚類の他、爬虫類、両生類など29種類の生息を確認しました。
水生植物は13種類の生育を確認しました。
 その中には貴重な動植物も見られます。
国のレッドデ-タブック: メダカ
府のレッドデ-タブック: ドジョウ、カワセミ、ササバモ、カマツカ、
              タモロコ、コウライモロコ、ドンコ、イシガイ

多くの動植物が生息する河川の生態系を維持保全創造していく必要があります。

2.寝屋川の水質浄化に淀川浄化用水の放流は不可欠です。

 

浄化用水の大量放水は河川生態系の維持、親水空間創造の障害になるので、維持水量が確保できる程度の流量で十分です。
治水の面からやむを得ず大量放水される場合もあり、動植物の産卵育成、避難場所の機能を備えた生態系保全護岸の造成も考慮しなければなりません。

3.親水空間を確保していく必要があります。

 

親水・河川利用護岸、緑化護岸、修景護岸を整備し、魚類の産卵や水生生物の観察、釣り等住民の利用を促進します。河川への接近性を高め、住民の河川環境への意識啓発を図ります。なお、河川構造物は自然改変につながる場合もあるので注意が必要です。
上流部(St.1~3)およびSt.5~7の流域は寝屋川においては、生物相が多様で、環境条件も良好であり、多自然型川づくりを進めることにより、住民の憩いの場とすることが可能でしょう。

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