環農水研食品技術ニュース第 41号 2021年12月1日配信 容器包装詰食品の加熱殺菌について ~試作に利用できる加工機器~  近年、地域性の高い伝統料理を地域おこしのために流通させる取り組みが盛んです。これらの料理を容器に入れて数週間~数か月間流通販売できる容器包装詰食品にするためには、加熱殺菌により安全性を確保する必要があります。今回は、容器包装詰食品の性状に応じて推奨される殺菌方法と環農水研で利用可能な機器をご紹介します。  容器包装詰食品で注意すべき食中毒菌:ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)は、 自然界に広く分布する菌であり、増殖すると非常に強い毒素を産生します。 ボツリヌス菌は加熱して100℃になっても耐熱性の芽胞を形成することにより生存できます。 低酸素(密封包装)でpHが 4.6 を超え、かつ、水分活性値(Aw)が 0.94を超える条件で増殖します。 水分活性値とは、微生物の増殖しやすさの目安です。 pH 4.6未満またはAw 0.94未満(ボツリヌス菌が増殖不可)の場合 例1ジャム 酸があるためpHが低く、糖があるため水分活性が低い 例2果実の缶詰・ゼリー 水分が多いため水分活性は高いが、酸があるためpHが低い →100℃以下の常圧殺菌 pH 4.6を超えかつAw 0.94を超える(ボツリヌス菌が増殖可能)場合 煮物・水産煮物・カレー・スープなど酸や糖が少なく水分を多く含む食品 →1100℃以下の常圧殺菌(ボツリヌス菌が生存)→毒素を産生するリスクがあるため常温流通不可、増殖させないために10℃以下で流通(要冷蔵または冷凍) →2加圧加熱殺菌・中心温度120℃で4分間(ボツリヌス菌が死滅)→常温流通可能 関連するバックナンバーもご覧ください。 第5号 水分活性測定装置 第35号 スチームコンベクションオーブン 第3号 レトルト調理器 終わりに 食品に関する技術支援制度  環農水研では、府内の食品関連事業者・農林漁業者の皆様が自社製品を開発・改良する際にご使用いただける、多様な加工機器や分析機器をご用意しています。  食品の試作や保存性調査、成分変化の分析データ収集等にご活用いただいています。  内容により費用を算定しますので、まずはお問い合わせください。  お問合せは食品グループ、Tel072-979-7063まで。